かつてのくらしを伝える写真たち

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研究部生活文化研究グループ 学芸主査

尾曲 香織

  • 職員の所属・役職は、森のちゃれんがニュース発行当時の情報です。

今回紹介するのは、天井からつり下がったバナー(写真パネル)です(写真1)。

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写真1 展示室の様子

総合展示室第4テーマは、いわゆる戦前から現在までを対象としています。対象となる時期の始まりが1910年頃で、終わりが2000年頃ですので、その期間はおおよそ90年になります。年数に幅があるので、展示を見に来られたお客様の中でも「懐かしい」と感じるものが一つくらいはあるかもしれません(私はいわゆる初期の写真シールがとても懐かしいです、写真2)。

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写真2 初期の写真シール

ここに展示されている写真は、当館の収蔵資料や、スタッフから提供されたものです。写っている内容は歴史的な事件というより、くらしの移り変わりがわかるよう、その時代になるべく多くの人が経験していそうな出来事や風景が選ばれています。

例えばスキーは、パネルの始まり部分(1920年代頃)(写真3)と1930年頃、1950年代頃、そして1980~90年代の間の計4枚もあります。異なる時代に生きる人たちがそれぞれスキーを楽しんでいた様子がわかるとともに、いつの時代も撮影した人たちにとって残しておきたい時間だったことがうかがえます。

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写真3 1920年代頃に撮影されたスキーの様子

出来事ではなく、時代の流れに着目するのであれば、1940年頃には出征する人たち、そしてそれを見送る人たちといった戦争に関連した写真、そして終戦から1950年代の初め頃は、多くの人が食糧を求め、食糧増産に努めつつ、すぐに米などと交換する、あるいは売って現金とするための魚や野菜を背負い、鉄道なども利用して遠くまで運んだ人々もいました。この頃には、労働の合間に休憩する様子や、魚などを人力あるいは犬ぞりで運ぶ様子(写真4)が選ばれており、実はその頃の空気がなんとなく感じられるように工夫しています。

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写真4 犬ぞりで魚行商をしている男性(関 三雄氏 撮影)

高度経済成長期に入る頃には、徐々に楽しげな雰囲気の写真が増えていきます。子どもたちのパン食い競争や大人の二人三脚は運動会と思われますが、この頃には学校だけでなく、今は減ってしまった、地域や会社などを挙げての運動会が開催されていました。

また、1960年代の終わりから1970年にかけてはモータリゼーションの進展がわかるような自家用車が走る街の様子が選ばれています。このあたりまでくると、写真そのものもモノクロからカラーへと移り変わっていったことがわかります。

当然ながら、今展示されている時期のくらしを知る人は年々減っていきます。100年前のくらしは、自分たちとはかけ離れているように感じられるかもしれませんが、写真からうかがえる人々の生活にある様々な感情は、時代を超えて共感できるものではないでしょうか。

4テーマをご覧になる際は、ちょっと視線をあげて、この写真たちも見ていただけると幸いです。