- 職員の所属・役職は、森のちゃれんがニュース発行当時の情報です。
著者プロフィール
1974年北海道美唄市生まれ、札幌市育ち。北海道職員として福祉分野の業務に従事したのち、2009年より北海道開拓記念館(現:北海道博物館)の図書室に勤務。写真はバックヤード作業中に撮影。
博物館図書室の研究とは?
当館には総合展示室の地下に、面積80㎡ほどの、お客さま10人で満席となる小さな図書室があります。図書館(図書室)は、館の性質により大学図書館、学校図書館、公共図書館、国立国会図書館、専門図書館の5つに分かれ、当館のような博物館の図書室は、企業や研究機関の資料室、議会図書室、病院図書室などと同じ専門図書館に分類されています。
専門図書館以外の図書館は、法律や要項などで設置が義務づけられていたり、運営や活動のあり方が規定されています。しかし専門図書館は組織の目的に基づき設置され、組織内での役割も館によって様々であるがゆえに、一律の規定は存在しません。
当館の図書室は、職員が調査研究やお客さまからのレファレンス(調べ物相談)に必要となる図書を収集保管し、また保管した図書や、当館の調査研究の成果をお客さまに提供することを目的として設置されました。私はこの目的を果たすため、図書の整理やお客さま対応などの実務にあたりながら、職員とお客さまが求める情報を的確に提供できる収集整理と情報発信のあり方を研究しています。
誰もが情報を探しやすい図書室を目指して
図書室には約15万冊の蔵書がありますが(1枚もののリーフレットなどの薄い図書も多く、見かけよりも実際の数は相当多くなります)、直接お客さまがご覧いただける場所にある図書は1,000冊ほどで、蔵書の大半は2か所あるバックヤード(書庫)に収められています。したがって必要な図書を速やかに提供するには、蔵書の情報をパソコン上で検索できるOPAC(オンライン利用者用目録)の整備が欠かせません。現在登録数は約3万1,000冊となり、館内でお客さまに検索していただくための準備を急いでいます。
特に苦心するのが、博物館や研究機関との寄贈や交換で収集した図書の登録です。博物館や研究機関が刊行する図書は、非売品や入手方法が直接購入のみのものが多いため稀少性が高く、図書室のなかで最も特徴的かつボリュームの多い蔵書群です。図書室では、一般の図書は日本の図書館で広く使われている「日本十進分類法」を使い、図書の主題を表す分類番号を付して番号順に棚に収めますが、博物館や研究機関の図書は、都道府県ごとに館(機関)名のあいうえお順で収めています。この方法は探す図書が初めから決まっている場合や、館(機関)に関する予備知識がある場合は、探す範囲を絞り込むことができ便利です。
しかしお客さまからの質問は「冷蔵庫や洗濯機、携帯電話など身近な道具の移り変わりが知りたい」のように特定のテーマを調べる内容であることが多く、主題別に収められていない蔵書群から目的の図書を探すには時間がかかります。このため過去のお客さま対応の記録を分析しつつ、質問の多いテーマをブックリストにまとめる、テーマに関連する語句がタイトルに含まれていない図書にはデータ登録時にキーワードも併記し検索されやすくするなど、必要とする図書を速やかに提供する方法を日々模索しています。
博物館の図書室にできること
専門図書館は、全国的にみても予算や人員、スペースなどの面で課題を抱える館が多く、当館のように専任の職員が司書1名の図書館も少なくありません。しかしそのなかでも多くの館が組織の持つ専門性や、特色のある蔵書を活かしたサービスを提供しています。当館の図書室も、当館だからできる情報提供のあり方を追求することが、図書室が設置された目的を果たす近道だと考えています。
例えば当館には27名の学芸員や研究職員がおり、図書室に専門性の高い質問が寄せられたときは、これらの職員の協力を得ながら対応にあたることができます。また当館の研究成果をまとめた出版物はもちろん、収蔵資料の画像や収蔵資料のデータベースから得られる情報など、図書だけに留まらない情報源を用いて対応に当たることができるのが図書室の強みです。特に、当館のアイヌ民族文化研究センターが整理を進めている山田秀三文庫、久保寺逸彦文庫、職員採録の音声・映像資料は、図書室で閲覧・視聴できる件数を段階的に増やし、アイヌ文化を学ぶ多くの方々に活用されています。
これら当館ならではの情報を提供できる態勢をより整備し、北海道の自然・歴史・文化を知る入口となるような図書室を目指していきたいと考えています。多くの皆さまのご利用をお待ちしています。
【図書室利用案内】
開室時間/開館日の9:30~16:30(5~10月は17:00まで)
電話/011-898-0466(総合案内)
●総合展示室を観覧のお客さまは、自由にご利用いただけます。(図書室のみご利用のお客さまは、総合案内で利用の手続きをお願いします。)
●貸出・コピーサービスは行っていませんのでご了承ください。