動物たちの「落とし物」

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研究部自然研究グループ 学芸主査

表 渓太

  • 職員の所属・役職は、森のちゃれんがニュース発行当時の情報です。

総合展示室2階の第5テーマ「生き物たちの北海道」に入ると、北海道で見られる動物の剥製がいたるところに展示されています。木の上にも鳥やヘビが隠れていたりするので、あちこち探してみるのも楽しいですが、今回は少し足元に目を向けて、動物の「落とし物」についてご紹介します。

実際に野外で調査をする場合には、目当ての動物を探すのはなかなか大変です。特に夜行性の種が多い哺乳類は、よほど運がよくないと出会うことができません。そこで大切なヒントになるのが、フィールドサインとも呼ばれる足跡や糞などの痕跡です。足跡からはそれを残した動物の種類や行動がわかりますし、糞からはその動物が何を食べていたのかを調べることもできます。

第5テーマでは、ヒグマ・エゾシカ・ユキウサギ・クマゲラの糞を展示しています。ちなみにこれらはすべて森で拾ってきた実物を展示用に処理したものです。ヒグマの糞は何個も展示してありますが、よく見てみると、クルミやドングリの殻の破片、草の繊維など入っているものが違うのがわかります。また、エゾシカの糞は豆菓子のようにコロコロしているものが多いですが、夏頃には大きめの塊になることもあります。このように、同じ動物の糞でも食べたものや季節によって色や形がだいぶ違うことがあります。

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図1 総合展示第5テーマの動物の糞いろいろ

また、タカやフクロウの仲間は餌を丸のみにした後に骨や毛といった消化しづらいものをまとめて吐き出します。これはペリットと呼ばれていて、糞と同じように食べたものを調べることができます。展示しているのはフクロウのペリットで、ネズミの頭骨がいくつも入っているのが見えます。

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図2 ネズミの頭骨が入ったフクロウのペリット
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図3 エゾシカの糞に集まる昆虫の展示

動物の糞は野外では糞虫などの貴重な食料となり、菌類に分解され、最終的には植物の養分として循環していくため無駄にはなりません。

もし、山などで動物の「落とし物」をみつけたら、じっくり観察してみると面白い発見があるかもしれません。ただし、寄生虫が入っていることが多いキツネの糞のように病原体を含む可能性があるので、むやみに触らないよう注意してください。