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総合展示第2テーマ「アイヌ文化の世界」に「見て 聞いて アイヌ文化の世界」というコーナーがあります(写真①)。
「見て 聞いて アイヌ文化の世界」には大きなモニター1台と小さなモニター2台があり、大きなモニターではいろいろな物語や歌・踊り・楽器などの実演を紹介する、それぞれ1~2本(1分程度)の映像を見ることができます。
この記事では、大きなモニターのプログラム「2 踊り」から、「鵡川に伝わる踊り「フッサヘロ」」を取り上げ、踊りとともに歌われるメロディの重なり方に着目してみます。
「鵡川に伝わる踊り「フッサヘロ」」は、『国際先住民の10年アイヌ民族文化祭ダイジェスト版~ヌヤン・ヌカラン・ピラサレヤン~』*(北海道アイヌ古式舞踊連合保存会製作、VHS、2006)に収録されている映像で、第13回アイヌ民族文化祭(1999年開催)で上演されたものです(写真②)。
- 当館の図書室でも視聴できます。
「フッサヘロ」では、座った踊り手数人と、その背後に立つ踊り手が登場します。
座っている人は少しかがんで床を手のひらで軽く触れるような動きを繰返します。その間、立っている方は座った人の背後から肩に触れる動き(写真③)を繰り返したあと、やや強めに床を踏みしめながら反時計回りに進みます(写真④)。
伝えられるところによれば、座っているのは病人の役で、立っている人は病人の背後から病魔を祓うため「フッサ」と呼ばれるまじないの動作を行っているのだとされます。
「フッサヘロ」は、こうした“お祓い”の場面を模した踊りとして、鵡川アイヌ文化伝承保存会を始めとする鵡川地域の人びとにより、大切に伝えられています。
さて、「フッサヘロ」の映像を見ながら、歌の旋律に耳を傾けると、「フッサ ヘーロ」を「カンコワ ホー テㇽケ」という2種類の歌詞を、違うメロディで同時に歌っていることに気づくでしょう。立って踊る人が「フッサ ヘーロ」を2拍で歌って3回繰り返すあいだ、座っている病人役の人は「カンコワ ホー テㇽケ」を3拍で歌って2回繰り返します。それぞれ合計6拍でちょうど1セット(下の図や譜面をご参照ください)。これを何度も繰り返し歌うのに合わせて、踊りも進んでいきます。
このように、拍のまとまり方が異なる2種類のメロディが同時進行するという構造は、アイヌの伝統的な音楽の特徴の一つと考えられます。
- 図と譜面は映像資料をもとに甲地が作成。図・譜面のアイヌ語は映像での発音に近い音で記した。(1)(2)(3)は拍を示す。
…と、言葉で説明すると、なんだかとても複雑に思えるかもしれませんが、まずは総合展示室にお越しになり、この映像をとおして、2種類のメロディが重なりながら進む全体を、踊りの動きとともに味わってみてください。
どちらかのメロディを、映像に合わせていっしょに小声で口ずさんでみると、もう一つのメロディとの絡みが実感できていっそう分かりやすいかも。(周りに他のお客さまがいない時に)ぜひお試しを!