第5テーマ「生き物たちの北海道」では、森林や海岸などの環境で生きる生物たちのつながりを感じられるように、さまざまな“役者”によって展示がかたちづくられています。一体どんな役者が舞台を彩っているのか、一緒にじっくり見てみましょう。
役者その1「標本」
自然系の展示では、多くの場合標本が主役になります。実際の生物や生物の痕跡を材料にして、不要な部分を除去して他の素材で補ったり、長持ちするように薬品処理をしたりして長く保存できるように加工したものが標本です。例えば、展示室に入ってすぐに目に入ってくるヒグマやエゾシカ、木の上で休む鳥たちの標本は「剥製」というもので、動物の皮に特別な処理をしたあとに作り物の中身(木毛やウレタンなど)に被せて作られます。生き生きとした剥製に仕上げるにはポーズや表情づくりに相当の技術が必要で、まさに職人の腕の見せ所です。
剥製をはじめ、昆虫や貝類などの乾燥標本、プラスチネーション標本をはじめとする樹脂などを染み込ませた含浸標本やフリーズドライ標本など、第5テーマの中だけでもいろいろな標本を見ることができます。これらの魅力は何と言っても実物そのものだという点でしょう。
役者その2「模型」
一見すると標本にしか見えないようなレプリカ(複製)から、背景に馴染んだシンプルなものまで、北海道博物館の総合展示には多くの模型が登場します。プロローグにて皆様をお迎えしているナウマンゾウやマンモスゾウは生きていたときのポーズを再現した復元模型です。海岸に漂着したネズミイルカや川で仔グマに咥えられているサケなどは実物に似せた模型です。特に魚類や両生類、爬虫類の標本は非常に褪色しやすく、生きた動物の色や質感をよりリアルにお見せするために模型が採用されることがあります。他には、森林の展示で背景になっている樹木のシルエットパネルも模型です。控えめですが、環境に合わせた樹種が配置されています。ぜひ少し遠くから見てみてくださいね。
模型もプロによって製作されるもので、実物以上に手間がかけられることもあります。ニセモノと一蹴されてしまうこともありますが、ぜひ作品としても楽しんでみてください。標本に負けず劣らず、効果的に情報を伝えてくれる心強いメンバーです。
この他に、お客様に大人気の「どんぐりコロコロ」や各種タッチパネルなどの楽しい仕掛けがお客様をお待ちしています。