
大きな戦争をはさんで、この100年あまりの間に、わたしたちのくらしや、社会のしくみ、自然とのかかわり方は大きくかわりました。わたしたちはどのようなことを経験して、どのような〈いま〉を生きているのでしょう。人びとのさまざまな活動や発言にも注目しながら、北海道のいまを、そして未来をつくる手がかりを、いっしょに考えてみましょう。
展示構成
展示物紹介
労働者・農民と小林多喜二
労働者・農民と小林多喜二

1927(昭和2)年、小樽では磯野農場小作争議への協力や港湾労働者による争議がつづきました。農民と労働者が協力した争議には、道内外からおおくの応援がありました。苦学して小樽高等商業学校(現小樽商科大学)を卒業した小林多喜二は、北海道拓殖銀行小樽支店に勤めるかたわら、運動を支えるとともに、北海道や北洋の過酷な労働事情を作品にしました。
木製戦闘機用に試作された主翼・補助燃料タンク
木製戦闘機用に試作された主翼・補助燃料タンク

中央の天井からさがる翼(右主翼3分の2)と補助燃料タンクは、1943〜44(昭和18〜19)年に、北海道立工業試験場が試作した木製戦闘機の機体部分です。このころはアジア太平洋戦争の末期で、資源も乏しいなか、日本が戦争を続けようとした姿勢がうかがえます。
北海道総合開発計画第1期第1次5か年を宣伝するポスター
北海道総合開発計画第1期第1次5か年を宣伝するポスター

1952(昭和27)年から始まった、北海道総合開発計画第1期第1次5か年を宣伝するポスターです。当時の北海道では、戦後の経済復興に大きな期待が寄せられていました。このポスターには、食糧生産の増強、地下資源の調査・開発、交通の整備、ダム建設などによる電源の開発などが、計画の重要項目として掲げられています。
軽量・小型で、水田作業に適したトラクター
軽量・小型で、水田作業に適したトラクター

井関農機株式会社が製造し、1967(昭和42)年に発売を開始したトラクターです。大きさは全長2,600mm、全高1,300mm、全幅1,370mmで、川崎航空機製の2気筒空冷ディーゼルエンジンを搭載しています。総排気量は822ccでした。
夢の大衆車 トヨタ パブリカ
夢の大衆車 トヨタ パブリカ

トヨタ自動車工業株式会社(現在のトヨタ自動車株式会社)が製造し、1961(昭和36)年6月に発売を開始した自動車です。名前は一般公募で決まりました。車体の大きさは全長3,585mm、全高1,380mm、全幅1,415mm、車両重量は600kgで、空冷2気筒水平対向式エンジンを搭載しています。総排気量は697ccで、最高速度は110kmでした。
電気洗濯機
電気洗濯機

東京芝浦電気株式会社(現在の株式会社東芝)が開発・製造し、1957(昭和32)年に発売を開始した自動反転噴流式洗濯機VQ-3型です。この洗濯機には、ローラー式の脱水機がついています。ゴムのローラーが2本ついていて、この間に洗濯物をはさみ、ハンドルを手で回して洗濯物の水を絞りました。
テレビ
テレビ

1953(昭和28)年、テレビの本放送が始まりました。1956(昭和31)年には、NHK札幌テレビ局が開局し、北海道でもテレビ放送が始まります。あこがれの家電製品として、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が「3種の神器」と呼ばれるようにもなります。テレビ放送が始まったころの人気番組は、プロレスや相撲の実況中継で、街頭テレビやテレビのある施設に、多くの人が集まりました。その後、1959(昭和34)年の皇太子ご成婚、1964(昭和39)年に開催された東京オリンピックなどがきっかけとなって、家庭にもテレビが普及するようになったといわれています。
鉄人28号とキューピー人形
鉄人28号とキューピー人形

高度経済成長の時代になると、プラスチックやビニールなどを素材にして、大量生産されたおもちゃが世の中に登場します。人気マンガの主人公や有名なスポーツ選手をモデルとした商品の開発も進みました。「鉄人28号」は、1956(昭和31)年に月刊少年マンガ雑誌『少年』で連載が始まりました。一方、キューピー人形は、大正時代にはすでに日本に輸入され、現在でも末永く愛されて続けているキャラクターです。
美顔器
美顔器

コロナ工業株式会社が、1974(昭和49)年に製造を開始した超音波美顔器です。同社のブログ記事によると、当時の販売価格が39,800円と高額であったにもかかわらず、2年間で150万台を販売した大ヒット商品でした。
アイヌの若者たちが刊行した「アヌタリアイヌ」
アイヌの若者たちが刊行した「アヌタリアイヌ」

1973年に創刊した雑誌です。火力発電所建設への反対、シャクシャインの戦いやクナシリ・メナシの戦いなど歴史的な出来事の意味をとらえ直す論説のほか、お年寄りたちへの連続インタビュー「エカシとフチを訪ねて」などを掲載しています。
クローズアップ展示
総合展⽰室に8つある、資料や話題を定期的に⼊れ替えて展⽰するコーナーです。
新たに収集した資料や、資料の劣化を防ぐために限られた期間しか展⽰できない貴重な資料も登場します。どうぞお⾒逃しなく!

たくぎん(北海道拓殖銀行)
展示期間: 2025.04.11(金)–2025.08.07(木)
1900(明治33)年4月に営業を開始し、1998(平成10)年に看板を下ろした「たくぎん」(北海道拓殖銀行)。さまざまな「たくぎん」資料群のなかから、高度経済成長期の北海道の経済や産業、人びとのくらしと関係の深いものを紹介します。今回は、小切手に関する資料を展示します。小切手は、現金を使わずに取引ができる証券のひとつです。現在では、電子化の流れを受け廃止されつつある小切手を、たくぎんの資料から紹介します。